イジワルな彼と夢みたいな恋を?
おかげで誰にも頼れずに一人でやったんだからね…と。
だから、きっと『謝れ!』とも怒ったーー。



(バカだ私……ホントに大失態やらかしてる……)



オフィスで涙ぐむなんて初めてだった。
鬼の撹乱だと揶揄われ、「頭に来る!」とやっぱり意地を張ってしまったーー。



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工事の着工開始から二週間が経ち、基礎の組み立てが出来、「次は瓦が張られるよ」…と岡崎さんから電話を貰った。


「あの瓦の色いいね。深緑の間に所々青緑が混ざるのがカッコいい」


屋根が出来上がったら一度見においで…と言われた。
はい…と返事はしたものの、内装が出来上がるまでは行く気もない。


一ノ瀬圭太とはずっと話もしてない。
意地を張り続けて、自分からは電話もかけれないでいた。



絵里からは時々電話があった。
「一ノ瀬君に謝ったの?」と問われ、「ううん」と言ったら「やっぱり」と呆れられた。


「酔って足元フラフラだった美晴の腕を自分の肩に回して歩かせてくれたのに」


どうしてそんな情報を小出ししてくる。


「大丈夫かなって心配もしてたのよ」


「絵里、もういいから。……うん、よくわかった。ちゃんとお礼もお詫びも言うよ」


約束させられて電話を切った。

四月に入ればモデルハウスも出来上がる。

竣工式の前には最終点検も必要になるから足を運ぶ予定だ。


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