イジワルな彼と夢みたいな恋を?
その時はきっと彼もやって来る。
そこで私は、きちんと彼と対峙をしようと決めた。


ところがその電話から一週間後、驚くべき人事の異動があった。


月曜日の朝、オフィスの廊下に集まってる人達がいて、何事だろうか…と足を止めた。
総務課の前にある掲示板には、様々な部署への紙が貼り出されている。



「…あっ、大田さん!」


私を見つけた橘君が目を丸くして声をかけてきた。


「どうしたの?皆集まって」


橘君だけじゃなく、アユちゃんや舛本君までもいる。


「大田さんは知ってたんれすか!?」


舛本君の言葉に「何を?」と聞き返した。


「あの一ノ瀬さんが新社長に就任するってぇ」


「えっ!」


アユちゃんの声に弾かれて掲示板を見つめた。

人事異動を知らせる紙には、数名の異動者の名前が記されてある。


その一番上に示されてあるのが『一ノ瀬圭太』で、就任後の欄に『(株)サンホーム 代表取締役社長』とある。

就任前の役職は……


「『(株)サンホーム 代表取締役専務』…って…えっ!?あれ?」



待って待って…と名刺入れを取り出した。

真っ白い紙に印刷された文字を見つめ……




「どういう意味?」


フリーでハウスデザインをしてるんじゃなかったの?

絵里が言ってた何処かの会社社長の息子というのは、うちのオフィスのことだったの?


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