イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「舛本君と同じく、鼻炎にでもなったかな…」


それにしては胸の方も痛い。

重苦しくて、異様に切ない……。



「変だよ。私…」


あんなに会ったらいろいろと尋ねたいことだらけだったのに、目の前にいる奴を見たら、何も言えなくなってしまった。


「あんなふうに出てくるなんて……お化けよりもタチが悪いよ……」


おまけに人の行動を「偵察」なんて。


「今更だけど、頭にくる…」


意地を張りながらボヤいた。
ショックを隠そうと必死になってる自分にも、何処か腹が立ってくる。



(どう考えても『ジ・エンド』じゃない……)


子供の時間は終わったんだ。

彼も私も、もう別々の道を歩んでる。

点のように触れ合っただけで、重なり合うことなんてないーー。



「そんなの……中一の夏に実感してた……」



肝試しの夜、クラスメートに合流した時、自然と離されていった腕。
身体だけでなく、心も支えてくれてたんだ…と、後になって気がついた。



(好きだと知っても遅かった。あの時も今も同じ……)



過去が戻ってきたと錯覚したのがいけなかった。
数個の点の繋がりは、線にもならずに終わってる。



「竣工式で会おう」


それが本当に別れになる。
一ノ瀬圭太との最後の点になるんだ………。



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