イジワルな彼と夢みたいな恋を?
笑いだしそうな三人に背中を向ける。


「えっ、大田さんの初恋の相手って一ノ瀬さん?」


あちゃ、反対側にも敵がいた。


「きゃっ。やっぱりぃ〜?」


アユちゃんが甲高い声を上げる。


「ちょ…」


何よ。そのやっぱり…って。


「一ノ瀬さんって、イジワルとかしてきそうなタイプらよなぁ」

「好きな子には無理難題押し付ける感じする!」

「もしかしたら、大田さんに甘えられたい…とか思ってたりしてぇ〜」

「あるあるー!」


ないない!!


「もう…人のことで遊ばないでいいから!」


余りにも突拍子のないことばかり言うもんだから、憂鬱な気分が吹っ飛んでった。


「実際、どうなんっすか?」

「中学時代とか意地悪とかされなかったれすか?」



されてばっかだったよ!

……とは言えず……



「別にぃ」


短く否定。そして無視。


「ええ〜ウソぉ〜!」

「ウソじゃないって」


大嘘だけど。


「でも、何かって言うと挑戦的らったのになー」

「あれ俺らにじゃなくて、大田さんに対して挑戦してたよな」

「イジワル言って楽しんでる感じだったぁ〜」

「大田さん、愛されてるねー」


「主任まで何ですか!もう!」


ガタン!と椅子から立ち上がった
こんなふうに冷やかされるのなんて慣れてない。


「ちょっと席離れます!」


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