イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「成る程。子供の遊び場作るつもりか」

「じゃあシーソーとかもアリ!?」

「あり得そうらなー」

「そうするとブランコとかも欲しいよねぇ〜」


アユちゃんの何気ない一言に手が止まる。


(ブランコ?もしかして、覚えててくれた?)


淡い期待が広がる。
でも、直ぐに掻き消された。


「木製のブランコなんて外に置くかよ。直ぐに腐って乗れなくなるぞ」

「あ、そっか。じゃあブランコはナシね〜」


橘君どうしてそんなとこで現実的なこと言うの。
アユちゃんの方もあっさりとそれを認めないでよ。


(でも、そうよね。いくら防腐剤塗ったって、外に置いたら風雨にさらされる訳だし…)


そう考えるとブランコはナシか。
やっぱりあれは夢でしかないんだ。


「はぁ…」


いけない!つい溜め息吐いた!


ちらっと振り返ると四人はオプションの話に夢中で気づいてない。
ホッと胸を撫で下ろし、また小さく息を吐く。


あの溜め息の数をカウントされて以来、私はボンヤリとも出来ずに仕事を進めた。
頬杖を着いてるのを見かけると、アユちゃんがニヤッと笑いだすからだ。


(これじゃどっちが先輩かわからないじゃない)


何だか自分の方が部下に思えることがある。
これまで一人で戦ってた日々が嘘みたいに思えてくる。


不思議な感覚がしてる。

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