イジワルな彼と夢みたいな恋を?
週明けの月曜日、私は住宅展示場に一番乗りした。
結局、土日も岡崎さんからの連絡がこないまま今日を迎え、待ちきれずにモデルハウスの前にいた。


一ノ瀬圭太がデザインしたモデルハウスはすっかり出来上がってた。

玄関の屋根の上には風見鶏が立ち、クルクルと風向きに合わせて回る。

玄関ドアには鍵が掛かってるから当然まだ外観と庭しか見れない。
それでもいいから近付いてみようと思った。

バッグの中には、安川さんから託された最後のパーツが忍ばせてある。
もしも貼ってはいけないと言われた時の為に、貼る場所も探しておかないと。


玄関に続くアプローチにはダイヤ型の敷石が置かれ、その両脇を整列したレンガが並び小道を作る。

円錐形に剪定された針葉樹の庭木が程よく配置されていて、まるで森の中に佇む洋館みたいな雰囲気が出来上がってる。


敷地に足を踏み入れたと同時に胸がドキドキし始めた。
思い描いてた夢の通りで、どうしてこうまで似てるんだろうって気がする。



(誰にも話したことなんてないのに…)


胸を弾ませながら家の横手に繋がる小道へと足を運んだ。

緑の芝生が植えられた庭には、アーチ状のウッドデッキが作られてあって、白いガーデンチェアとテーブルのセットが置かれ、日差しよけのパラソルまで立てられてある。



「素敵…ここでお茶できたら美味しそう…」


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