イジワルな彼と夢みたいな恋を?
壁は明るいクリーム色の塗装剤で塗られ、床はきっとパイン材だ。

設えた家具も同じパイン材らしく、明るい温もりに包まれてる。

部屋の左側には小上がりになった和室があり、その壁には漆喰が塗られてあるみたいだった。


「キッチンにも入ってみろよ」


一ノ瀬圭太が勧める。
右手の壁沿いがキッチンになってるらしく、対面式で小さなカウンターも付いてる。

何か意味があるんだろうかと顔を眺めてから歩き、カウンターの横を通り過ぎていくと。



(これは…)


私が以前話した通りのキッチンスタイルが施されてあった。
L字型に近いA型のシステムキッチンの色はパウダーピンクで収納棚がタップリとある。

これなら上に何も出さなくてもいいし、掃除もし易くて常に清潔でいられそう。



「ここも素敵。ここで料理したい」


キッチンに立って前を向けば、リビングとダイニングと和室が見渡せる。
料理をしながら家族と話ができて、子供達も見守りながら話も聞いてやれる。


女子の……ううん、私の夢が詰まったようなキッチン。
憧れてた通りのものが、現実に目の前にある。



「住みたい…ここに…」


ぼうっとしたまま呟くと、クスッと鼻で笑う声が聞こえた。

ハッとして左側を見ると、冷蔵庫を背に立ってる一ノ瀬圭太が居て。


「な…何よ」


思わず我に返って意地を張った。


< 138 / 166 >

この作品をシェア

pagetop