イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「…大田」



「あ…あの……」



「俺が嫌いなら突き飛ばしていいから!」






ドンッ!と大きな物音が鳴り響いてドアが開いた。


(何事?)と二人してそっちを見合わせる。





「イッテー」

「何やってんだよ。舛本ー」

「一番いいとこで邪魔してぇ〜、ダメじゃん」



ゆとりちゃん達が折り重なるようにして転がってる。



「……お前ら、そこで何してんだ」


冷めた声で、社長の一ノ瀬圭太が尋ねる。



「いや、あのー」

「岡崎部長に様子を見てこいと言われてぇ〜」

「二階から声がしたんれ、見に来たんれすけどー」


ははは…と、三人共苦笑してる……。

彼はそんな彼らの言葉にピクリと眉を動かし、ボソッと呪いを放った。


「お前ら全員、次のボーナス減給にしてやる」


「えっ…」

「そんなぁ」

「オレ達、散々頑張ったのにーー」


悲痛な表情で訴える。

確かにゆとりちゃん達は、以前とは比べものにならないくらいに仕事をしてる。

時には私の方が後輩みたいで、まるで見張られてるような気もすることだってある。

だけど、こうして彼の前で悄気てる姿は相変わらず子供で、その様子が見てたら堪らなく可笑しくなってきて……。



「プッ!くくっ……あはははははは……!」



ごめん。
ムードも何も無くなるけど。



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