イジワルな彼と夢みたいな恋を？

二学期の始まる前にあった八月の登校日で、担任から一ノ瀬圭太は転校した…と聞かされた。


「お父さんの仕事の都合で関東へ行った。皆には別れを上手く言えそうにないから、俺から宜しく伝えて欲しいと頼まれた」


女子達は悲鳴を上げて残念がり、男子の大半も初めて聞いた様な顔をしてた。

私はショック強過ぎて声も出せず、こんなことならあの時もっと素直になってれば良かった…と後悔した。



一ノ瀬圭太が抜けた後のクラスの落ち込みは酷くて、折角纏まってた関係もまたバラつき始めた。

私は二学期も学級委員を押し付けられ、必死になってクラスを盛り上げていこうとした。


一ノ瀬圭太がいたらどうしただろうか…と考えて、どうしてここに居ないんだ…と涙に暮れることだってあった。



あいつと同じ学校で中学時代を過ごしたかった。

一学期と同じように悪態をついて、イジワルをされながら反骨精神を剥き出して張り合いたかった。



苦い思いを残したままで散った。

あれが私の初恋だな…と、卒業する頃になって気づいたーーー。