イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「主任、そういうのは午前中のうちに教えておいて下さい!」

「あ、そうだったね。ごめんね〜」


(あんたもゆとり世代だったの!?)


違うでしょーが…と思いながら、なんとか深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせた。

部署のドアを開けて出て行く主任の後ろを追い、トボトボと歩いて付いてく。

私があの課のことは殆どやってる気がするのに、どうしてこの人の後ろを歩かなきゃならないんだ。


(本当に理不尽。納得いかないことばっかり)


モチベーションは下がる一方で、これを解消するには仕事を辞めるか変わるかしかないなと思う。


でも、住宅販売のオフィスに勤めるのは夢だった。
自分だけの部屋を持ったことがない私にとって、家を買うと決めたお客様はスゴい。

どうせ買うならいい家に住んで頂きたいし、それで少しでもコストの安い資材を提供できればいいと今は思う。


いろんなメーカーや店舗へ赴くことの多い仕事。
値段交渉も出来ないといけないし、納期も守ってもらわないと困る。


精神的に疲労はするけど大切だと感じてる。
他の人から見ればきっと、ブラックな企業で働かされてると思うくらいに自分は働いてると思う。


それでも、どうしても忘れられない。

『夢のマイホーム』を手にされた時の施主さんと家族の笑顔がーー。



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