イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「お前、相変わらずの怖がりだな」

(そう言うあんたは相変わらずのイジワル野郎だよ!)


ドキン…ドキン…と胸が鳴り響く中、三度目の再会を果たした私達。
ドラマならここで、恋が始まっていくのかもしれないけど。



「どうしてこんな所にいるのよ」


私にはヒロインになる素質はゼロだ。
同窓会での朧げな記憶も邪魔して、どうしても素直にはなれない。

それなのに私を驚かした相手は見事な王子スマイルでいて、それを見てる周りの女子達の視線が熱い。


「どうしてって、頼まれたから」

「誰に?何を?」


聞き返しながらこんな男に頼み事をする奴の顔が見たいと思った。


「お前、自分で言ったこと覚えてないのか?」

「私が?何か言った?」


まさかとは思うけど、彼に頼み事をしたというのは自分自身?


「呆れた奴だなぁ」


私の前にいる男は苦笑する。
意味の見えない私は、自分が彼に言った言葉すらも思い出せない。


「まぁいいよ」


よくない。


「これから宜しくな」


とーーんでもないっっ!!



「ちょっと!一ノ瀬圭……っ!」


言い返してやろうと思ったのに阻まれた。
同窓会と同じく、女子の群れに弾き飛ばされてしまった。


「いった〜〜…」


何がどうして?
どうしていつもこんな感じになるの?


< 28 / 166 >

この作品をシェア

pagetop