イジワルな彼と夢みたいな恋を?
それからは本当に大変だった。

メーカーさんへの問い合わせや交渉に至るまで、全ての作業をゆとりちゃん達に教えながら行う。
定時に帰ってばかりいた主任までも巻き込んで、まるで一大イベントのような感じで仕事を進めた。


ゆとりちゃん達は時々急にヤル気を失くす。
それは何故かと理由を聞いてみれば……


「ゲームとLINEのやり過ぎで寝てないっす」

「朝から頭痛でぇ〜」

「昨夜から何も食べてないんれす」


(あんた達は子供か!?)


そうは思ったけど、なるべく角を出さないように努力した。
そのお陰か、以前よりもずっと真面目に仕事をするようになった。



「大田さん、最近優しいっすね」


お昼休みに橘君から言われ、(我慢してるだけよ!)と頭の中では思う。
この頃では五人が集まってランチタイムを過ごすことも増えた。
チームワークも良くなり、前よりかは話もし易い。


「私も主任を見習って、あまり怒らないようにしてるの」


そう話したら三人が「へぇーー」と感心したような声を上げた。


「やっぱり、それは彼氏の仕事を手伝ってるからっすか!?」

「愛の力ってやつら!」

「大田さん、羨ましい〜〜!」


おいおい…と言いたくなる。
私がいつ一ノ瀬圭太を彼氏だと認めた?


「あのね、私は一ノ瀬君とは何もないと前から言ってるでしょう!」


< 68 / 166 >

この作品をシェア

pagetop