イジワルな彼と夢みたいな恋を?
例えばアユちゃんはエクセルの操作が早い。
計算書も仕上げるのが早くて、お陰で安心して任せておける。



「…ねぇ橘君、この文章訳せる?」

「どれっすか?」


高校生みたいな話し方をする橘君は意外にも秀才だった。
私が苦手とする英文をスラスラと訳してくれて、ついでに質問内容も英語で入力してくれる。


「大田さん、オレ営業部の人とショールーム回るんれすけど、何か聞いておく事ありますかー?」


鼻づまりの酷い舛本君は、ムードメーカーとして一役買ってる。
あの独特の話し方で場の雰囲気を和らげるのがいいと言われ、最近では外部との交渉も任せてる。


「床材と天板の値段もう少し値切れないか伺ってみて。部長さんが好きな羊羹をお土産に買っていくのを忘れないでね」

「オッケーれす!行ってきまーす!」


頼もしくなってきたゆとりちゃん達を眺めながら仕事をしていく。
あれ程イライラしてたのがウソみたいに、毎日が順調な日々だ。



「大田さん、俺も何か手伝おうか?」

「主任はモデルハウス以外の仕事をキッチリとお願いします」


何かと言うとゆとりちゃん達以上にゆとり系だった主任も変わった。
時々は私以上に残業をして、何かと細々した仕事を片付けてくれる。


「俺も仲間に入れてくれよぉ〜〜!」


やっぱり子供だったか。


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