イジワルな彼と夢みたいな恋を?
三回目のミーティングの翌日、岡崎さんから「上役会議で了承を得られた」と連絡が入り、私は一番最初に国内のタイルメーカーに電話したーーー。



そこは主任が見つけたメーカーさんだった。
中規模の工場で、昔ながらの拘りを続けているのが特徴だとホームページに載ってた。

訪問した際に、外壁材にタイルを使うと話すと、「いいねぇ」と工場主の安川さんは笑った。


「昭和には外壁にタイルを使う家も多かったんだよ。そういう場合でも一部分だけというのが一般的だったけどね」

「そうなんですか。でも、これから建てる家では一軒丸ごと外壁にタイルを貼りたいと思ってるんです」


そう言ったら、「以前に作ったタイルも使用していいなら折り合おう」と言ってくれた。

ワインカラーと焦げ茶とレンガ色の三種類を組み合わせたもので、これらを上手く貼り合わせることで、見栄えのいい家に仕上がる筈だと教えてくれた。


「モデルハウスに使うにしては贅沢なものだぞ」


誰かがずっとその家に住めばいいのに…と零していた。


「私が住みます!」


そう言ってやりたかったな…と思いつつ、オフィスへ帰ったことがあるーーー。


ーーーーーーーーーーー


安川さんに電話を掛けたら、楽しそうな声を上げた。


「いよいよ拘り詰まったモデルハウスが作られるんだな」


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