イジワルな彼と夢みたいな恋を?
そもそも私も絵里からその話を聞いて以来、本人には会ってないし、折角会えるチャンスだった施工式ですらも立ち合わないで逃げたんだから。


「なんらー、オレはてっきりあの人は大田さんのことが好きなのかなーと思ってたのに」

「同感!後にも先にも大田さんを手伝ってやれと言った人なんて、あの人だけだもんな」

「大田さんに甘い人もいるんだねぇ〜って、皆で話してたこともあるよねぇ」


「…あのさ、いつ私が彼に甘やかされたの?いろいろと注文付けられて、大変な思いばかりしたじゃない」


タイルも屋根瓦も、サイズや種類の注文を付けられて困った。
いつも以上に細部まで練り上げてから、予算も捻出させられた。



「でも、その頑張りは認めてくれましたよぉ」

「三回目のミーティングの後で、オレらに電話くれたもんらー」

「いい家が出来上がるから楽しみにしておけって言われったすよ」



「…それ、いつの話!?」

「ん〜〜、確か大田さんが席外してサボってる間だったかなぁ?」


「えっ…」


まさか、あの絵里と話してる時?


「『大田は?』と聞かれたので『おサボり中で〜す』と言ったら大ウケしてた!」


アユちゃん、それ酷いんだけど!?


「『大田にも休みが必要だよな』って笑ってましたよぉ。それ聞いて私、優しいなぁ…って思いました」


「俺は『これからも大田を頼む』と言われたっす」


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