イジワルな彼と夢みたいな恋を?
「『一人で頑張り過ぎるところもあるから、時々はのんびりさせてやってくれ』とも頼まれましたー」


「なんだか愛されてる話だね、大田さん」


ビクっとして振り向いた。
いつの間にか後ろに来てた主任が笑い、自分もこう言われた…と話した。


「『あー見えて怖がりなので、残業はあまりさせないでやって欲しい』って」


「えーーっ、大田さん怖がりなんれすか!?」

「俺、大田さんは怖いもの無しかと思ってたっす!」

「私も〜。むしろ大田さんがこのオフィスでは一番の怖い人だったし〜〜」


「それ言える!」

「いっつもカリカリしてて怖かったー」


何だかもう、ボロボロに貶されてるんだけど……。




「大田さん…?」


皆の視線が私の顔に釘付けになる。

私の方は、自分でも信じられないくらいに涙ぐんできて。



「……ヤダな。もう…酷い……」


こんな感じで甘えさせられるなんて思わなかった。

私に直接言わないところが、返って憎らしいくらいに効く。



(私は酔った勢いで感情を全部ぶちまけたのに…)


どんなことを話したのかも知らないし、何を頼んだのかも覚えてない。
だけど、今の皆の話を聞いたら何となく想像ができた。



私はきっとずっと一人で寂しくて辛かった…って言ったんだ。


どうして助けてくれなかったのか…と。
どうして一緒にクラス運営をやってくれなかったの…と散々駄々をこねた。


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