続*おやすみを言う前に
「着替える?」
「気持ち悪い、から、とりあえず寝たい。」
「そうやな。それがええわ。」
もう一度寝かせてから、麻衣子の部屋を開けてベッドを調える。
家中に漂う彼女の匂いがここにだけ充満している。俺の部屋と違っていつも綺麗に整頓されている部屋。物が少なくさっぱりしているけれど、机の上に二人で撮った写真が飾られているのが嬉しい。
それを見て、ちょっと心が落ち着いた。
「麻衣子、運ぶで。」
抱き上げると、きゅっと胸元を掴んでくる細い指。
なんだかさっきの大人気ない態度はやっぱあかんかったな。せやけど、彼女が他の男に肩抱かれてんのは彼氏としては面白くない。しかも酔い潰れて無防備な時に。ついつっけんどんな対応をしてしまった。
「水置いとくな。具合悪なったら呼びや。」
「ん、ありがと。」
横たわる麻衣子に薄いブランケットを掛けて頭を撫でる。柔らかい髪がはらはらと枕に流れた。
さー、俺も寝るか。散らかしっぱなしで寝るのは麻衣子が怒るから、とりあえず片付けはして。