続*おやすみを言う前に

* * *



翌朝。八時過ぎに起きて、適当なテレビを見ながら簡単な朝食にしていたら、八時半頃麻衣子が起きてきた。


「おはよー。」

「おはよ。具合どう?」

「ちょっと頭痛いけど大丈夫。」


困ったような、申し訳なさそうな顔で、昨日の服のまま麻衣子はソファーに座った。基本的にきちんと生活している彼女の少しだらしない姿。


「二日酔いやな。」

「あー化粧したまま寝ちゃったー。拓馬にも迷惑かけてごめんね。」


どうやら彼女は普段はしない類の失敗にかなり凹んでいるらしい。膝を抱えて頭をうずめた。ちょっとおもろい。


「せやな、めっちゃ迷惑やったわ。」


隣に座っても、麻衣子の姿勢はそのままだ。


「ほんとにごめんね。」


反省と謝罪の込もった声。そんなに凹まんでもええのになー。意地悪言うたけど別に迷惑かけられてないし。麻衣子よりタチの悪い酔っ払いは世の中に五万といるからな。
< 12 / 98 >

この作品をシェア

pagetop