続*おやすみを言う前に
「そもそもなんで潰れたん?ウーロン茶とウーロンハイ間違えたーて聞いたけど。」
「ロシアンたこ焼きってわかる?」
「あー、あの大量のわさびだのタバスコだの入っとるたこ焼きやろ?」
「うん。それで私わさび入りの食べちゃって、流し込もうとして近くにあったの飲んだらウーロンハイだったの。」
「匂いで気付かんかったん?」
「わさびが強過ぎてわかんなかった。」
「そういうことか。ま、しゃーないな、焼酎あかんもんな。」
ハタチになってからいろいろ連れ回してあらゆる種類のお酒を試させた結果、麻衣子は焼酎にめっぽう弱いことが判明したのだ。特に居酒屋でよく使われる蒸留酒はすぐ気持ち悪くなってしまう。
「で、なんでその体勢のままなん。」
「だって、このまま寝ちゃったし、ぼろぼろの酷い顔してるもん。」
麻衣子は膝頭におでこを付け、両腕で顔を隠すようにしている。
さっき起きてきた時にだいたい見てんのに、今更隠しても。
「ええやん、別に。」
「良くない。」
「隠しても遅いで。ちょっと話があんねんからこっち見て。」
「話?」