続*おやすみを言う前に

麻衣子は渋々顔を上げたが、まだ三角座りのまま。そんなに見せたくないのか、目だけはこっちに向いているが鼻から下はなんとか腕で隠そうとしている。

その無駄な抵抗がちょっとかわいい。


「昨日誰に送ってきてもらったんか覚えとる?」

「うん。」

「じゃあどんな格好やったかも?」

「格好?」

「せや。男に肩抱かれて寄りかかって帰ってきたやろ。」


真顔で言うと麻衣子も空気を察したのか、しゅんと縮こまった。

本気で怒っとる訳やないけど、今後もおんなじことされたくないから。年上やし、余裕で流さなあかんのかもしれんけど、単なるヤキモチやけど。


「男って、ただのゼミのメンバーだよ?」

「男は男やん。」

「気にしすぎだよ。」

「ふらふらで無防備の状態で、どっか連れ込まれでもしたら抵抗出来んやろ。危ないやんか。」


そう言うと麻衣子はふふっと笑った。
< 14 / 98 >

この作品をシェア

pagetop