続*おやすみを言う前に

「とにかく、昨日みたいな状態で男と二人っきりっちゅーのが嫌やねん。」


ストレートに言ってみる。

麻衣子は緩めた腕の中から上目遣いをよこした。


「……ヤキモチ?」

「そうや。」

「拓馬でもヤキモチ焼くの?」

「誰かさんに惚れとるからな。」


近付く。麻衣子の左耳の上で跳ねる髪を一房、弄ぶ。

距離が縮まったから、麻衣子は赤くした顔を再び膝にうずめる。


「迎えに行くってメールもしたのになあ。」

「さっき見た。ごめんね。」


一房を指に巻き付けるようにくるりと回す。柔らかい髪がはらはらと解けた。


「昨日のことはもうええから、次から気ぃつけて。もうちょい危機感持って。」

「うん、わかった。」


そのまま抱きしめよう。

としたら、思いっきり逃げられた。三角座りのままぐるんとこちらに背を向けた。
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