続*おやすみを言う前に
「んー、麻衣子やって性欲あるやろ?」
「ごほっ。」
いきなりのことにアイスが気道に詰まりかけた。
せ、いよく、って、そんなストレートなあからさまな単語を急に出されても。むせる。
「え、ないの?あるやんな?」
「……。」
「せやったら、麻衣子がしたい思う時にそう言うてほしいねん。そこらへんも見せてくれたらええなってこと。」
顔が熱い。アイスの冷たさなんて一瞬で消える。
言いたいことはわかる、わかるんだけど、あんまりにもはっきりと口にしてくれちゃうから、とんでもなく恥ずかしい。
「なに?無反応やけど、どうしたん?」
拓馬の手が後ろから頭にふれる。
「急にすごいこと言うから。」
振り向くと、いたずらが成功してにんまり微笑む拓馬。
「なんや、こんなんで照れてんの?可愛い奴やな。」
頭の上に置かれた手がくしゃくしゃと髪を乱す。
年と恋愛経験の差がずるい。いつも飄々と余裕な様子で私をかき回す。
拓馬は私の心をいとも簡単に掴んで離さない。私も。そんな風になれたらいいのに。ちょっぴり悔しい。
「もう一口ちょーだい。」
「あーげない。」