続*おやすみを言う前に
* * *
「おはよう、麻衣子。」
「おはよう。」
二限目の幼児教育論を受けるために教室で座っていると後ろから声がした。
声の主、英美香は今日も明るいロングヘアーを揺らして、隣の席へ腰掛けた。
「どうしたの?何か暗くない?」
「え、そう?」
「うん。あ、彼氏と喧嘩でもした?」
フローラル系の香水がふわっと香る。女子力を凝縮したような彼女は、いつも指先からつま先まで丁寧に飾られている。
「んー、喧嘩ではないんだけど。」
活動的で快活な英美香は私とは真逆のタイプだが、なんとなく馬が合って1年生の時からずっと仲が良い。
そういえば英美香はいわゆる肉食系。恥を忍んで相談してみてもいいだろうか。
「あのさ、聞いてほしいことがあるんだけど。」