続*おやすみを言う前に

帰るなり夕食をぺろっと平らげた拓馬が浴室に行ってから十五分が経つ。

一方じゃんけんで勝った私はもう入浴済みで、髪も乾かし終わりいつでも寝る準備は出来ている。

心臓がばくばくしてきた。

いきなりこんなことをして引かれないかな。これが精一杯だけど、私、今、すっごい恥ずかしいことしてないかな。

もうすぐ拓馬はお風呂から上がってくるだろう。緊張する。

外はさっきまで降っていた雨が小休止して、湿気が温度の下降を抑えているような夜。だから、剥き出しの腕はちっとも寒くなんてなくて、いや、単にドキドキしているからかも。

浴室が開く音がする。廊下をぺたぺた歩く音。


「麻衣子ー?もう寝たん?」


ドアの向こうで拓馬の声。3、2、1。


「わ、びっくりした。何してん?」


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