続*おやすみを言う前に

「勉強は大丈夫なん?追い込み時やろ。」

「大丈夫。なんかね、焦り過ぎててなかなか集中出来なくてまた焦って、の繰り返しだったの。思い切って休憩して、掃除して料理してたら気分転換になった。」

「せやったらええんやけど、無理はせんといて。」


目標を一点に定めて努力を続ける。

それは簡単なことではない。少なくとも俺の今までの人生において、麻衣子みたいに何かひとつに長く全力を捧げたことはない。

だから、尊敬している。


「麻衣子には夢叶えてほしいねん。昨日はあんなこと言うてもうたけど、めっちゃ応援してるから。」


すきとか抱きたいとか、可愛いとか愛おしいとか、鈍感すぎるやろもうちょい男心っちゅーもんを理解しろやーとか、麻衣子に対して感じることはたくさんあるけれど。

その感情のひとつに、尊敬がある。

がんばってほしい。叶えてほしい。麻衣子の夢を目標を、隣で支えていきたい。それがずっと俺の役目であってほしい。


「ありがとう。がんばる。」


鎖骨に頬を寄せるように抱きしめ返してきた。

ほんまかなわん。ここまで素直で可愛いなんて、なんか反則やろ。
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