続*おやすみを言う前に
「麻衣子、これ。」
行き先が違うので、麻衣子が乗る電車のホームで見送りをする。
まもなく電車が到着する、というアナウンスと同時に、鞄から取り出したものを差し出した。
「お守り?」
「うん。昨日仕事中に神社の横通ったから寄り道して買ってきた。学業成就って意味違うかもしらんけど。」
「ありがとう。」
電車がホームに滑り込んでくる。
「ずっと応援してくれてありがとう。拓馬のおかげで頑張れた。精一杯やってくるね。」
「おう、しっかりやってこい!」
銀色の車両に乗り込んだ後ろ、ドアが閉まる。
窓から小さく拳をかかげる姿に手を振った。電車は行く。
がんばれ、麻衣子。
俺も。今夜は試験帰りできっと疲れているだろう彼女を抱きしめるため、早く帰れるように気合入れていこう。
DAY 3. END