続*おやすみを言う前に
拓馬の部屋に入って、半分空けられているベッドに寝転がる。ベッド脇の間接照明だけを付けて拓馬は何やら携帯をいじっている。
「メール?」
「うん、浮気相手に。」
「ふーん。」
「嘘やん。サークルの同期。麻衣子も知っとるやろ、村木。来週飲もうってメール来てん。」
別に疑ってないけど。拓馬はわざわざ届いたメールの画面を私に見せてきた。
「へそ曲げた?」
「そんな冗談で怒らないよ。」
携帯を枕元に置いた拓馬の腕が、腰に回される。
「余裕やん。あ、俺が麻衣子にぞっこんやからって慢心しとるな。」
「ぞっこんって古い。」
「古くてもその通りやねんからしゃーないやろ。」
ぐっと引き寄せられて、向かい合って横になったまま抱きしめられる格好になる。腰から頭に移った手が洗いざらしの髪を撫でた。