続*おやすみを言う前に

新しく何作かDVDを借りて店を後にする。

映画鑑賞は二人の共通の趣味だけれど、好みの作風は全く異なる。いかにも男っぽくアクションやスパイものの洋画が好きな拓馬に対して、私は洋画邦画問わず恋愛や日常を描いた作品とアメリカのテレビドラマが好き。

しかし、趣向が違うからって、それぞれ一人で観るなんてことはない。お互いの選んだものを出来る限り一緒に観る。

そういう付き合い方が出来るって、きっと当たり前ではないと思うから。

コンビニに寄りたいという拓馬が言うので、来た道とは違う道を歩く。住宅街を進むと、エアコンの室外機の低い回転音が幾重にも重なる。今夜は熱帯夜のようだ。


「どれ食べる?」


寒いくらいに冷房の効いたコンビニのアイスコーナーの前で、ポテチとガリガリ君を手にした拓馬が問いかけてきた。

時刻は九時半過ぎ、二キロが浮かぶ。


「いらない。」

「なんで?アイス好きやん。」

「なんか、お腹空いてない。」

「夕飯もちょびーっとしか食べてへんのに?」


まあええわ、買うてくるから待っとって、とレジに向かう拓馬を置いて先に外に出た。むわっとぬるい空気に再び包まれる。

夏季限定のマンゴーバーも抹茶ソフトもとっても美味しそうだったけれど、こんな時間に食べたら確実に痩せられない。それだけならともかく、更に太るなんてことになったら。

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