続*おやすみを言う前に

恨まれてるって何やねん。塩ホルモン焼きをビールで流し込み、タッチパネルでビールのおかわりを村木の分も注文する。


「麻衣子ちゃんだよ。サークル内でガチで狙ってる奴何人もいたのに、たまたま一回飲み会で会っただけの拓馬が横から掻っ攫ってったってさ。」

「何その話。麻衣子狙ってる奴おったなんて聞いてない。」


村木の話をまとめると、麻衣子はサークル内で密かに人気があったが、揃いに揃って草食系男子だったために積極的なアプローチには至らず。また鈍感故に本人は周囲から向けられる好意に気付いてないのだろうということだった。

麻衣子はもうとっくにサークルを引退してはいるが、俺のようにこれからもOGとして関わることもあるだろう。そもそも、今までもずっと麻衣子をすきな奴等が周りにいたということで。

面白くない。


「まあまあ、そう不機嫌になるなよ。もう同棲までしてるカップルに横恋慕しようなんて誰も思ってないって。ただ純粋な女の子がチャラ男先輩の毒牙にかかったことに恨み言の一つや二つ言われるくらいで。」

「チャラ男って誰がやねん。」


< 65 / 98 >

この作品をシェア

pagetop