続*おやすみを言う前に
「もうちょっとで着くから起きとってほしいんやけど、眠い?」
「ううん、大丈夫。でもなんか今日の拓馬変だよ。」
「変ってどこが。」
「えー、何かわざわざ電話してくるし。疚しいことでもあったの?」
電話を通して聴く麻衣子の声が新鮮で、足取りが軽やかになる。やっぱ酔っ払っとんなあ、柄にもなく胸躍らせたりして。
「麻衣子以外の女抱く元気なんかないわ。」
「また変態なこと言ってる。」
「何がやねん。他の女に興味ない言うてんやから喜べや。」
「下ネタばっかり言うなら切るよ。」
「下ネタやなくて愛の告白やんか。」
こんな時間でもじんわり蒸し暑い。ごちゃごちゃくだらない話をしているうちに家に着いた。