続*おやすみを言う前に

電話を切って中に入ると、ソファーでテレビを見る麻衣子がいた。


「おかえり。」

「ただいま。」


綺麗に片付いた冷えた部屋。深夜に帰宅しても電気が付いてて待っていてくれる人がいるって、ええな。


「めっちゃ涼しい。今日熱帯夜やんな、駅から歩いただけで暑いわ。」

「暑いのは酔っ払ってるからじゃない?」

「そんな酔ってへんよ。」


鞄を床に放り投げてソファーに座る。

今夜の麻衣子は水玉模様のつるつるした生地で、半袖短パンのパジャマ姿。男の俺にはようわからんけど、なんかいっつも可愛い部屋着を着ている。


「やっぱ短パンええな。」

「酔って下ネタばっかり言うのってオジサンみたい。」

「俺が飲み過ぎたんは麻衣子のせいやろー。」

「なんで私のせいなの。もう、訳わかんないことばっかり言って。」


あからさまに鬱陶しそうな顔をされる。

以前何かの話の流れで「直して欲しいとこある?」と聞いたら「酔っ払って絡んでくるとこ。」と即答されたっけ。しかし、そのうんざりした表情すら可愛くて。
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