続*おやすみを言う前に
いつでも迎えに行けるようにと、酒を舐めるように呑みながら、映画もクライマックスに差し掛かった時。
インターホンが鳴った。
誰やろ、こんな時間に。不審に思いながらも覗き窓から外の様子を窺ってみる。
廊下の電灯に照らされているのは若い男と、俯いている、麻衣子?
とりあえず玄関の電気を付けてドアを開けた。
「麻衣子?」
「あの、こんばんは。僕小高さんと同じゼミの者なんですけど、すいません、小高さん潰れちゃって。」
若い男が申し訳なさそうな顔で口を開いた。その男に肩を支えられ、半ば寄りかかる格好の麻衣子。アルコールが吹っ飛ぶ。
「まじで?そんなに飲んだん?」
「最初はあんまり飲んでなかったと思うんですけど、ウーロン茶とウーロンハイ間違えて一気に飲んじゃったみたいで。」
話しながら、「……拓馬?」と顔を上げた麻衣子を引き寄せる。ふらふら全体重を預けてくる身体が熱い。
酒に弱いのを自覚していつも量をセーブしている彼女がこんなに潰れているのは初めてのことだ。