続*おやすみを言う前に
「麻衣子の運転って危なっかしそうやしなあ。」
「そんなことないよ。お母さんとか弟とかも乗せてるし。」
バカにしてるでしょ、と麻衣子は口を尖らせた。
地元では十八になったら免許を取得するのが当たり前らしく、麻衣子も進学で上京する前に免許を取っている。しかし、運転している姿を見たことはない。
年に数回しか運転しないであろう麻衣子に高速を走らせるのはさすがに怖い。
「今回は俺運転するから任しとき。気遣ってくれてありがとな。」
左手を伸ばして頭を撫でる。
「ちゃんと前見て運転して。」
むくれたままの麻衣子はつれない。機嫌がいつも通りになってしまった。
近頃ツンデレが加速している気がする。言いたいこと言うてくるんはええけど、もうちょいデレ比率を上げてくれたらなあ。
結局そこもすきなんやけど。たまにツンとされて、極たまにデレっとされて、時々、全部計算されてるんちゃう?手のひらでコロコロされてんちゃう?と思ってしまう。
本人は無自覚なところがかなわない。
しばらく走っているとサービスエリアの入り口が見えてきたので、左にウインカーを出した。