続*おやすみを言う前に

「うわ、もう暑い。」

「ほんまやな。ハンドルあっついわ。」


ものの二、三十分離れただけなのに、車内には熱い空気がぎっしり詰まっていた。急いでエンジンをかけてエアコンの風量を最大にする。


「いい天気だけど、暑いね。」


麻衣子は小さいタオルで額の汗を拭っている。ノースリーブのワンピースから覗く二の腕が白く眩しい。


「それ新しい服?可愛いやん。」


ピンクとか水色とか、いろんな色が混ざった夏らしい柄のワンピースは、麻衣子によく似合っている。

普段の麻衣子はカジュアル寄りの服装をしていることが多く、それももちろん似合う。しかし、いかにも女の子という格好をされると更にテンションが上がるのも本音。


「新しくないよ。この前も着たもん。」

「うそ。」

「もう、ほんと適当。」


どうやらまたしくじったらしい。

しゃあないやん、女の子の服なんてぶっちゃけようわからんねん。可愛い可愛くないの好みはあれど、細かい服の違いなんてわからない。
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