神様っ!!


「もうっいいわよ! あたし来年には家を出て行くんだから! 」


 きょとんとした母と柊はこの言葉に隠された意味などわかりようがない。


「とうとう転勤? ヘマやってどこに飛ばされるのよ」

「会社近いくせに、独り暮らしなんかするの? すぐに飢えて実家に出戻りだろ」


 ふふん。聞いて驚け。


「あたしとうとう伊勢神宮にお参りしたんだから! もう今日からのあたしは昨日のあたしとは違うの! こうフェロモンとかオーラみたいなの? もう昨日から効果を期待出来てるから! 」

「……へー。あのさ駅で道聞かれたとかナンパのうちに入んないからね」

「そっそれだけじゃないから! お店でもイケメンに順番譲ってもらったんだから! 」

「……………邪魔だったんじゃない? 」


 明らかに疲れのにじんだヨレヨレのスーツ姿の女が、コンビニでフラフラしてたら怖いから近づかなかったとでも?

 確かにその可能性だってあった。でもそのイケメンは『お仕事大変なんですね』って言ってくれた! 朝からまぶしいくらいのスマイル付きで!!




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