神様っ!!
 くやしくて涙が出てきた。涙の膜のむこうで柊は肩を丸めて小さく見えた。

 髪型を変えたり、服やお化粧を教えてもらったり、柊とは何でも相談できるような幼なじみだと思っていた。

 そうだよ、あたしには他に幼なじみなんていない。いつも柊がべったりで他の友達を作るなんてできなかった。ううん、しなかった。

 柊は人の気持ちを察して先回りして悲しんでいることや悩んでいることを、一緒に悩んで解決してくれようとした。いつも、いつも。

 いつも一緒にいたのは、柊といるのが楽だったから。

 甘えているのは、あたしの方だ。

 ぽたぽたと涙がこぼれる。

 あたし、今日幼なじみをなくしちゃったんだ。つまんないケンカをして。でも、彼氏を作るのなら、いつまでも幼なじみと一緒というわけにもいかないよね……

 とぼとぼ歩きながら、胸の前には冷たくなったポテトを抱えていた。さめると美味しくなくなっちゃうんだよね。多少涙で味付けされたそれを抱えて、遠回りしながら帰った。

 涙が止まるまで。
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