プロポーズは金曜日に
第四金曜日
「来週の金曜日は飲み会で、再来週も金曜日と土曜日が飲み会で……この日はお泊まりで……」
小さく口に出しながら、予定をカレンダーに書き込む。
私の部屋のカレンダーも、伊波くんの部屋のカレンダーも、それぞれの字で、それぞれの予定がどちらも同じように書き込まれている。
どちらの部屋のカレンダーのそばにも、同じ青とピンクと黒のペンが置いてある。
伊波くんは、さらりと流れる青い字で。
私は、丸くてちまちました、ピンクの字で。
二人で立てた予定は黒で。
何か記念日のときは大きく書く。デコレーションしてもいい。というかする。私が。
そんな、手慣れた作業。
スマホのカレンダーも共有してあるんだけど、他の仕事の予定で埋まっちゃって、色の区別がつきにくくなったり混乱したりしたことがあって、大きめのカレンダーに書き込むようになった。
私の場合、これを手帳にも書き写す。
手帳もスマホのカレンダーも、場面によって使い分けないと大変だからそうしているんだけど、手間がかかるんだよね。
予定、覚えやすくていいけど。
「この日は会議でしょ、こっちも友達と会うから遅くなって……」
「今月は大変ですねえ」
「まあ、季節的には仕方ないんだけどね」
うなだれつつ、スマホのカレンダーから手早く予定を写していく。
「伊波くんはあんまり飲み会とかないんだよね?」
「うちの会社は遠距離通勤の人とか車通勤の人とかが多いので」
「いいねえ」
はあ、と溜め息を吐くと、まあまあ、と伊波くん。
「心配じゃないのおおお」
私の溜め息があんまり暗いのを聞かなかった振りをして、誤魔化すみたいに甘えれば。
「麻里はお酒強いじゃないですか」
——それに。
「お前しか見えねえんだよ」
小さく口に出しながら、予定をカレンダーに書き込む。
私の部屋のカレンダーも、伊波くんの部屋のカレンダーも、それぞれの字で、それぞれの予定がどちらも同じように書き込まれている。
どちらの部屋のカレンダーのそばにも、同じ青とピンクと黒のペンが置いてある。
伊波くんは、さらりと流れる青い字で。
私は、丸くてちまちました、ピンクの字で。
二人で立てた予定は黒で。
何か記念日のときは大きく書く。デコレーションしてもいい。というかする。私が。
そんな、手慣れた作業。
スマホのカレンダーも共有してあるんだけど、他の仕事の予定で埋まっちゃって、色の区別がつきにくくなったり混乱したりしたことがあって、大きめのカレンダーに書き込むようになった。
私の場合、これを手帳にも書き写す。
手帳もスマホのカレンダーも、場面によって使い分けないと大変だからそうしているんだけど、手間がかかるんだよね。
予定、覚えやすくていいけど。
「この日は会議でしょ、こっちも友達と会うから遅くなって……」
「今月は大変ですねえ」
「まあ、季節的には仕方ないんだけどね」
うなだれつつ、スマホのカレンダーから手早く予定を写していく。
「伊波くんはあんまり飲み会とかないんだよね?」
「うちの会社は遠距離通勤の人とか車通勤の人とかが多いので」
「いいねえ」
はあ、と溜め息を吐くと、まあまあ、と伊波くん。
「心配じゃないのおおお」
私の溜め息があんまり暗いのを聞かなかった振りをして、誤魔化すみたいに甘えれば。
「麻里はお酒強いじゃないですか」
——それに。
「お前しか見えねえんだよ」