プロポーズは金曜日に
第五金曜日
次の金曜日。
伊波くんの家で一緒にポトフを作っていたときのこと。
伊波くんが、私を呼ぶ。
「麻里」
「うん」
嗄れた低い声に、あ、きた、と構える。
きた。これはきた。
「麻里……」
美しい造作と瞳の熱量が私の視界いっぱいに映されて、何もかもを真っ白に塗り替えて思考を占領する。
「好きって言えよ」
唐突なキメ顔と溢れ出る色気に若干腰が砕けつつも、即答した。
「え、うん。伊波くんのこと好きだよ」
……即答したら、ぽかんとされた。
あれ?
「いや、好きくらいいつも言ってるじゃんか。別に言われなくても何回だって言うよ」
「そうでした」
何だか真剣にぽかんとしているので、私がよく好きと言う日常は、何故だかすっかり頭から抜け落ちていたと思われる。
「なんでそれ言ったの?」
不思議だ。
言えよ、なんて言われなくても、好きだよと言いまくっている。
伊波くんが好きですよ、と言ったら、私も好きだよ、と返すに決まっているのだから、好きですよと言ってくれたらいいのだ。
それで充分、私が言う可能性がもっと確実になるじゃないか。
伊波くんの家で一緒にポトフを作っていたときのこと。
伊波くんが、私を呼ぶ。
「麻里」
「うん」
嗄れた低い声に、あ、きた、と構える。
きた。これはきた。
「麻里……」
美しい造作と瞳の熱量が私の視界いっぱいに映されて、何もかもを真っ白に塗り替えて思考を占領する。
「好きって言えよ」
唐突なキメ顔と溢れ出る色気に若干腰が砕けつつも、即答した。
「え、うん。伊波くんのこと好きだよ」
……即答したら、ぽかんとされた。
あれ?
「いや、好きくらいいつも言ってるじゃんか。別に言われなくても何回だって言うよ」
「そうでした」
何だか真剣にぽかんとしているので、私がよく好きと言う日常は、何故だかすっかり頭から抜け落ちていたと思われる。
「なんでそれ言ったの?」
不思議だ。
言えよ、なんて言われなくても、好きだよと言いまくっている。
伊波くんが好きですよ、と言ったら、私も好きだよ、と返すに決まっているのだから、好きですよと言ってくれたらいいのだ。
それで充分、私が言う可能性がもっと確実になるじゃないか。