【完】『けったいなひとびと』
こうして。
麹や酒粕を使って化粧品の開発のプロジェクトが始まった。
プロジェクトのリーダーには、
「うちの会社は化粧品でお酒は専門外だから、お酒を扱う専門家がいいでしょう」
と、外部招聘というかたちで駿が指名された。
駿は京都と東京を行き来する慌ただしい暮らしになったが、
「まぁ商品が出来たら終わるから」
と、どこかその忙しさを楽しんでいる風もある。
麹や酒粕を使うにはかなり技術力が要るのが分かっていたので、
「まぁ、気長に研究しましょうや」
と駿は変わらないマイペースぶりを発揮していた。
「しかしまた、子供から来たハガキで化粧品作ろうってのは、どえらい発想力やなぁ」
駿はさやかに素直に尊敬の念を抱いていたようで、
「秀島社長なら大丈夫や」
と安堵している様子も窺うことが出来た。