【完】『けったいなひとびと』
日にちが経過してゆくなか、舞の肌には特に目立った症状もなく、
「むしろキメが細かくなってきました」
というところで一ヶ月が過ぎた。
「これなら何とかなりそうですね」
研究所の医師の検証も無事通過し、取り敢えずネットで先行発売という話が決まったのであるが、
「商品名がねぇ…」
老舗らしいネーミングを…とはいうものの、大手の代理店のコピーライターが持ってきた案はダサい。
「酒ウォーターって何よ」
思わず駿は吹き出した。
その刹那。
「うちでは仮の呼び名で『京の水』って言うてますけどね」
駿がこれまた思い付きでつけていた仮の名称だが、
「それいい!」
さやかの一声で、商品名に決まったのである。
かくして。
『京の水』はネット限定で売りに出されたが、出すとあっという間に、十分ばかりで予定の二百本が完売した。