【完】『けったいなひとびと』

だってぇ、とさやかはそれまで駿が聞いたこともないような甘ったるい声を出して、

「どうしても伊福部くん…いや駿を、私のそばに置いときたかったんだもん」

と言い、いたずらっぽく舌を小さく出した。

「そんなテヘペロされたかて…よう買えましたね」

「駿のパパ、話してみてわかったけど、すっごく物分かりのいい人だよね」

なにがなんだか分からないような、駿は目を白黒させている。

「それって…」

「えへへ」

「いや、えへへやあらしまへんがな」

「全く…いつまで経っても気づいてくれないから、今回けっこう大胆な手段使ったんだよ」

「はぁ」

駿には単語すら見つからなかった。



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