【完】『けったいなひとびと』
要は。
駿にさとられないように、病床の父親や祇園の女将などに、こっそり根回しをしていたらしいのである。
「これで酒屋さんもつぶれなくて済むし、駿は東京で仕事できるしで、めでたしめでたしだよねー」
「…って、俺の立場どないしまんの?」
「そんなん決まってるじゃん、来月から秘書室の室長に復帰ね」
「…はぁ」
次第に駿は何が何だかよく飲み込めなくなって、頭がクラクラしてきた。
「で、酒屋はどないなりまんの?」
けっこう大事な話だが、
「それはね、駿は確かお姉さんいるよね?」
「はい」
「それで話をつけてあるから」
「…!」
そんなところまで手を打ってあるとは、と駿は気が遠くなりそうになった。