【完】『けったいなひとびと』
「あ、そうそう」
さっき晴加先輩に言ってた話なんですけど、とさとみは、
「社長って帰国子女で外国語には敬語がないからタメグチだって噂は聞いたことあります」
「そんなことちっとも知らんかったで」
駿は驚いた。
「まぁ何か俺、ずっと京都勤務で東京にコネないから、こっちに何も情報入ってけぇへんけど」
「ラインもですか?」
「なっ…ラインのグループまであるんかい」
駿は自分が孤立無援であることを初めて知った。
「だから俺は東京勤務はイヤや言うたのに…」
「えっ?」
「だいたいよう考えてみぃ、うちなんか四十近いのにまだ主任やで。もっと出来のえぇのおるやろって言うて、はっきり断ったハズなんやが」
確かに駿は三月で四十代に突入する。
「何か話が違う…」
「どういうこっちゃねんな」
「何かたっての希望で来たって聞いてたんで、あれ?って」
さとみは首をかしげた。