【完】『けったいなひとびと』
告白
年が、暮れてゆく。
取り敢えず仕事はじめまでに京都から引っ越さなければならなくなった駿は、クリスマス前の連休を使って鶴見に新しく借りた部屋に移った。
「一緒に住んでも私はいいんだよ」
とさやかは言ってくれたのだが、役員がたまに来るさやかのマンションに、駿のケータハムセブンがあっては、
「それはすぐばれますやろ」
と言い、鶴見に手頃な部屋があったのをさいわい、契約だけは取り交わしておいたのである。
斯くして。
クリスマスをさやかは駿と迎えた。
まだ段ボールも片付き切らない、鶴見の小振りなワンルームではあったが、
「部屋が小さいと密着できるからいいね」
とさやかはグイグイと駿にくっついてきた。
それまで。
ほとんど女性としてさやかを駿は見てはいなかったが、こうして見ると確かに、ニューヨークから派遣されて来た当初に噂になっていたのが、ようやっと腑に落ちた気がした。