【完】『けったいなひとびと』

つき従っていたのはさとみで、

「室長、急に何か遭ったんですか?」

と不安を隠さなかった。

が。

「さとみちゃんも多分、ビックリするんじゃないかなぁ」

謎めいた小さな笑いだけを残し、さやかがスタジオへと移動してゆく。

このとき。

駿は出張で京都にいた。

「まぁ社長のことやから、何か新商品の宣伝とかなんとちゃうかなぁ」

と高を括っていたが、頭によぎっている心配事が離れることもなかった。

生放送が始まると、

「冒頭からですが、コメンテーターの秀島さやかさんからお話があるそうです」

カメラがさやかのアップに切り替わった。

何か意を決した顔で、

「…週刊誌などで報道されている熱愛の件についてですが」

ここでさやかは一呼吸おいてから、おもむろに口を開いた。



< 126 / 128 >

この作品をシェア

pagetop