【完】『けったいなひとびと』
「もうイヤや、こんな仲間はずれにされるんやったら労基あたりにチクって辞めるわ」
と穏やかではないことを駿が口走ったので、
「室長、来たばっかりでそういうこと言わないでください」
「せやかて俺だけ差別されとんのやろ?」
「…うーん、仕方ないなぁ。じゃあ私が協力しますから」
「五十嵐くんに迷惑かからんのか?」
「あ、私は大丈夫です」
いざとなったら父が検事なんで、という一言で、駿の息が一瞬止まった。
「前の室長からセクハラされたとき父に相談したら、いつの間にかその人いなくなってたんで」
案外さとみはツワモノであるらしい。
が。
「なるほどなぁ…五十嵐くんは味方になると、これほど頼もしい人もないってことか」
ようやく駿は頼れる部下を得た…というような、落ち着いた気持ちになることができた。