【完】『けったいなひとびと』
さとみにすれば、
「イケメンで弁護士だなんて、まるで宝くじに当たるようなものじゃないですかー」
社長もったいないですよ、と既に目に星が輝いている。
「でもねさとみちゃん、私は正直、あんなガツガツとした男はタイプじゃない」
「じゃあ室長みたいなマイペース系とか?」
「室長は悪くはないんだけど、ちょっとマイペースというか…」
今や駿のマイペースぶりは社内では知らぬ者がないほど有名で、新入社員の研修のときには、
「座れません事件」
というエピソードがある。
「分かったら座れ言われたかて、分からんから座れません」
と講師に言い返し、最後に取っ組み合いになったことがある。
「それ知ってます」
さとみの聞いた限りでは、確か駿が講師を投げ飛ばして勝った…というのを知っている。
「室長はねー、中身は男前なんですけど…顔がね」
さとみはため息を漏らした。