【完】『けったいなひとびと』

こうしていつもの、オレンジ色のフラップタイプの、ナップランドと呼ばれるスタイルのリュックを背負って駿は出勤してくる。

駿いわく、

「営業は会社の看板やから、人一倍オシャレしなあかん」

というのが持論であった。

つまり。

「化粧品メーカーやから、女の子が常に見る」

という意識を持っていたようで、だからリュックもいわゆるビジネスリュックではなく、通販で買ったオレンジのものにしている。

さとみも一目で、

「これ、めっちゃ欲しい」

「通販にあるで。もとが学生用やから丈夫やしね」

と問われた際に答えている。

その営業時代から変わらないライフスタイルで、秘書室長として働く。

当然ながら。

社長の秀島さやかも駿のリュック姿は知っており、

「こんなに機能的で可愛いのが日本にあるなんて」

と言うので、

「じゃあさとみちゃんと社長の、取り寄せます?」

と言い、小樽にあったメーカーのホームページで見て選んだブルーと黒を、それぞれさとみとさやかにプレゼントをしたのである。



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