【完】『けったいなひとびと』
◇2◇
再会
一連の株式売却などの処理がようやく落ち着いた頃、秘書室に新しい人員が配置された。
「今日からお世話になります」
と丁寧にお辞儀をしたのは矢田堀舞という社員で、学生時代まではアイドルグループの一員として活動し、秘書検定を取っていたことから、中途採用で入社してきたのであった。
駿はエースの晴加と並ぶ戦力と見て、
「矢田堀くん、早速で悪いんやけど、これを頼もうか」
と書類を渡し、次第に任せるようになった。
この頃になると駿も秘書検定は取得していたので、安定的に業務を捌けるようになっている。
舞にとって最初の仕事は、ニューヨークの投資ファンドからの視察団への対応という大きなプロジェクトであった。
これは広報部と共同で進行して行かなければならないため、
「広報にはうちの同期で三浦っちゅうのがおるから、そいつに訊いたらえぇ」
と、三浦紫が担当することの希望を出した上で指示を出した。
ところが。
広報部からは、
「三浦紫ではなく別の担当ではダメですかね?」
という回答が来たのである。