【完】『けったいなひとびと』
翌朝。
いつものように出勤でタクシーでさやかがロビーに出ると、
「秀島くん」
見ると例の竹内護である。
「…僕はまだ、試合を諦めてはいないよ」
「何の試合ですか?」
「ずいぶん他人行儀だね」
「だいたい赤の他人で関係ないでしょう」
さやかは少し怒りで昂った。
「まぁいい。どうやら君はあの秘書室長とやらがお気に入りのようだけど、必ず最後には僕が勝つ」
得意気な顔で護は、エレベーターに消えた。
そこへ舞とさとみがあらわれた。
「社長おはようございまーす」
「おはよう」
「…あのー、顔色あんまり良くないですけど、どうしたんですか?」
「…二日酔いかな」
「まったく…伊福部室長もさっき調子が良くないって駐車場で頭痛薬飲んでましたよ」
上司はしっかりしてください、とさとみに諭されると、三人はエレベーターに乗り込んだのであった。